韓国生活のリアルな話

韓国生活ミニ小説: 汗蒸幕(ハンジュンマク)と7人の勇者たち

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枝豆とチムジルバン

みなさんこんにちは、風呂上り、ゆでたての枝豆セムです。本日久々にチムジルバンに行ったのですが、チムジルバンの中でも一番温度が高い汗蒸幕(ハンジュンマク)にスマホなしで座っていると、気がつけば妄想モードになってました。

100度という高温の世界にいながら浮かんだ妄想を一本のミニ小説にしたためました。あの灼熱洞窟に入って汗を流したことがある方であればきっと共感していただける内容です。それでは行ってみましょう!

汗蒸幕と7人の勇者たち

暗闇の中を奥へ進むと、そこには6人の先客がいた。灼熱の中頭から布をかぶり、ただ汗を流すことだけに命を懸けている。言葉を発する者はいない。携帯の呼出音なんかを発そうものには懐の剣を抜き出しかねないほとの緊張感が洞窟内をとりまいている。この中には暗黙のルールが存在するようだ。互いに言葉を交わすことはなく、ただひたすら汗を流すことだけに命を懸けている。そして数分間同じ空間に存在する7人の間には、言葉は交わさないものの、ある種の共同意識が芽生えているのである。

入り口に見える赤い数字は100度を指していた。人間の体温が平均36.5度と言われているので、その約2.5倍という過酷な環境である。そんな中でもスマートフォンは肌身離さず持ち込んでいるのを見ると、この国がスマホ天国と呼ばれる理由に納得する。この環境で壊れない精密機械には敬意を払わずにはいられない。

7人の勇者は固定ではなく、数分間隔で入れ替わる。誰もここの主人と名乗ることはできない。その場を離れた瞬間、自らが主張する場所は自らの場所ではなくなってしまうのだ。

隣に座る中年男はかれこれ長くこの場を本拠地としているようで、皮膚という皮膚すべてから汗が噴き出していた。体から水分をすべて絞りとる修行。しかしこの男はむしろその苦行を楽しんでいるようである。

向かいに陣取る女は顔全体が布で覆われており、その表情をうかがい知ることはできない。天を見上げ、自らの限界と闘っている。汗がまだ噴き出していないその姿は、まだこの場に陣を置いてからそれほど時間がたっていないことを示している。

斜め向かいに座る男はBluetoothヘッドホンを首から下げ、スマホに映る動画を食い入るように見つめていた。声を出して笑うことは当然ながら許されない。下手に表情を変えることさえ憚られるほど緊張感が漂う灼熱環境で男が何を見ているのか、言葉には発しないが、男の行動は勇者たちの静かな好奇心をかき立てているに違いない。

また一人、勇者が去った。そして数分しないうちに、新たな勇者が現れた。誰も示し合わしていないのに、常に7人を維持する謎の空間。新たな勇者は10歳前後の少女だった。

体中の水分がじわりじわりと皮膚の外に滲みだしてきた。一度出始めると、その後は堰を切ったように溢れ出す。隣の男はそろそろ限界点が来ているようだが、何がこの男をこうさせるのか、意地にも似た感情で高温に耐えている。わたしは決意した。この男が立ち上がる時を自らの去り時とすることを。

数分後、男が突然立ち上がる。行くべき時が来たようだ。男はひょっとしたら他の誰かにそのタイミングを委ねようとしていたのかもしれない。しかし、その想いは叶わず、彼は彼自身の限界によりこの場を去ることとなった。立ち上がる時、もちろん挨拶は交わさない。残る勇者からはエールと静かな拍手が送られる。そして、この先も気をつけよ、というメッセージとともに。先に旅立つ勇者が起こす僅かな風が、その場に残る勇者にひとひらの涼を与えるのだ。

言葉にならないメッセージが渦巻く灼熱の洞窟。名も名乗らず、互いの身分もわからないが、この空間を数分間共にしたという経験が不思議な連帯感を作り出していた。勇者の後を追うように、清涼の風が吹く外の世界へと一歩を踏み出す。中の静けさとは対照的に、外には子どもたちのかけ声と人々が作り出す喧騒がそこにはあった。勇者を出迎えるオアシスの水に手を伸ばす。

ごくり、という音と同時に水分が高速で吸いこまれ、体の中に消えていった。またあの世界に戻ることはあるのだろうか。時間を共にした勇者たちの無事を祈りつつ、わたしは新たな冒険に旅立つことにした。(終)

セムのひとこと: 妄想ですよ、フィクションです

熱さのせいか、妄想がぐるぐる回る・・・これは豆ブロにかかねばと思って外に出て書こうにも涼しい環境では筆が進まない・・・ということで再び別のチムジルバンで汗をかきながら書いた作品です。くだらなくてもいいじゃないですか(笑)クスリと笑いが出ればいとうれしでございます。

忍者_豆ブロ記事下(左)_170507

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